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お知らせ

「スクリーンタイム」から「デジタルエコシステム」へ

  • 善導寺こどもクリニック
  • 3月19日
  • 読了時間: 5分

Healthy Habits 90_スクリーンタイム16


2026年2月、米国小児科学会(AAP)は「Digital Ecosystems, Children, and Adolescents」という新しいポリシーステートメントを公表しました。(※)

これは小児のメディア利用に関する従来の「スクリーンタイム」中心の考え方から大きく転換する内容です。改定前の内容については、第5回31回で取り上げており、10年ぶりの改定となります。

従来の「スクリーンタイム」モデルの限界

これまで小児のデジタルメディア指導は主に年齢毎の時間制限に焦点が当てられてきました。しかしAAPは今回、次の点を強調しています。

「メディアと子ども」は、

・個々の子どもの行動やスクリーンの使用制限のみの観点から捉えることはできない

・個人や家庭だけでなく、デジタル環境や社会構造によっても形成される


今回の声明におけるキーワードは、「engagement-based design」と「child-centered design」の2つです。


■engagement-based design(エンゲージメント設計)とは、ユーザーの注目、インタラクション、そしてデータ獲得を競うデジタルデザインで、多くの場合、収益構造によって後押しされている、と定義されています。つまり、ユーザーが長く、頻繁に、夢中で使うように作られたデザインです。今のSNSやアプリを想像すれば容易に頷けます。


■child-centered design(子ども中心設計)とは文字通り、子どもの発達、プライバシー、安全、主体性、学習と幸福を支えられるように、子ども中心にデジタル環境を整えましょうということです。


つまり、メディア使用は「親の管理」のみで決まるものではなく、アルゴリズム、設計、社会環境の影響を強く受けるという立場です。

子どものデジタルエコシステムの社会生態学的モデル

この枠組みが示す通り、今回の声明では子どもの周りを意識することに重点が置かれています。デジタルエコシステムはビジネスであり、アルゴリズムによる推奨、自動再生、断続的な報酬、友人の推薦、「いいね」などの数値化指標などを通して長期的で頻繁な使用に繋げています。もはや「家族が管理する域を超えている」状態です。


●それぞれの要因がメディアとどのような関係にあるか。

①    子ども

・個人要因・・・気質、感情調整などが関係していて、メディアとの関係はそれぞれ異なる

・感情のコントロール・・・メディア利用において重要で、子どもが感情をコントロールするスキルを身につける機会を奪ってしまう可能性。

・少数派グループ・・・多くのマイノリティの若者にとっては、社会的つながりを育むことができるが、差別を増幅させる可能性もある。

・発達との関連(0~5歳、6~12歳、13~18歳)・・・質の高い教育コンテンツ、養育者との共同視聴は利点がある。その他既知のデメリットが羅列されている。(言語発達、実行機能、微細運動の発達の遅れ、睡眠不足、学力低下、感情制御の弱さ、近視、坐位時間の増加、心血管系のリスク、など)


②    養育者

養育者は子どものメディア利用に関して、最も近い存在であり「ゲートキーパー」を務める。頻繁なデジタルメディアの使用によって養育者と子どもの交流が中断されることは問題。これをtechnoference(テクノファレンス)という。

・養育者のストレス・・・養育者のストレスは、モバイルデバイスの使用頻度の増加と関連。


③    デジタルエコシステム

子ども中心のデザインは、言語、認知、社会情緒の発達をサポートすることができる。しかし、エンゲージメントベースのデザインは、子どもの主体性を損ない、問題のある、または危険なメディアの使用につながる可能性がある。

・広告やゲーム要素・・・教育的と謳うアプリにも含まれている

・ダークパターンデザイン・・・ユーザーの利益より企業側の利益を優先し、利用継続や課金を促すように設計されたもの。例として、無限スクロール、自動再生、連続利用を促す報酬表示、終了しにくい画面設計などがある。

・無限スクロール、自動再生・・・離脱が難しくなる

・アルゴリズム・・・子どもの興味を推測できるデータ収集

・ショート動画・・・アルゴリズムによる推奨を推進させる可能性

・通知・・・学校や睡眠を妨げる

・プライバシー・・・未成年と知らない大人の接触を生み、危険につながり得る


④    制度と構造

・システム・・・政府、政策、学校、コミュニティなどのシステムは子どものデジタルメディア体験を左右する要因。

・家族への支援不足・・・保育の不足、放課後の子どもの居場所、貧困、保護者の長時間労働は、子どものメディア利用時間の延長と関連している

結論

子どもやティーンエイジャーは、豊かさとコミュニティに満ちたデジタル空間を探索する権利がある。エンゲージメントを重視したデザインは広く普及しているが、子どもの幸福に焦点を当て直すことができる。子ども中心のデザインは実現可能であり、社会にとってより良く、子どもの幸福を促進するデジタル製品につながる可能性がある。


■子ども、家族への推奨事項

・家族メディアプランを作成する

・質の高いコンテンツを見つける

・初めてのスマートフォンをいつ買うかを考える

・個人用タブレットはできるだけ持たせない

・家族全員でスクリーンフリーの時間を作る

・時間制限を設定する

・他の重要な活動を取り入れる

・ペアレンタルコントロールを使用する

・睡眠を守る

・安全性を教える

~今回の新しい声明を読んでみての解釈~

今回の声明では、社会や制度や企業にも責任があることが明確化されました。しかし、個人や家族(主に養育者)に責任がないとは述べられていません。養育者の関りが最も重要であることは変わらないと考えます。養育者は子どもを中心とする要因の一つであり、子どもに最も近い存在です。しかし、子どもの行き過ぎたメディア利用を「養育者の管理不足」という視点でのみ語るのではなく、デジタル環境の影響を理解することや、企業や政策レベルでできることをそれぞれが努力する、子ども中心のメディア環境を社会全体でより良い方向に整えていきましょう、という内容と理解しました。


そして、おおまかな時間制限についても引き続き重要です。

時間制限は、幼児および未就学児の場合は1日あたり1時間未満、学齢期の子供および10代の子供の場合は1日あたり 1~2 時間以上の娯楽 (学校に関係のない) メディアまでの範囲になります。最も重要な考慮事項は、高品質のコンテンツと健康的な活動 (例: 睡眠、遊び、身体活動、読書) を優先すること。


(※) Munzer T, Parga-Belinkie J, Milkovich LM, et al. Digital Ecosystems, Children, and Adolescents: Policy Statement. Pediatrics. 2026;157(2):e2025075320.


【Healthy Habits 全記事まとめ】こちら

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