食事中のテレビ視聴の影響
- 善導寺こどもクリニック
- 5月21日
- 読了時間: 3分
Healthy Habits 69_スクリーンタイム12
今回は、食事中のテレビ視聴と食事の質に関するシステマティックレビューを取り上げます。(※)
システマティックレビューとは、あるテーマに関する複数の研究結果を系統的に収集・評価・統合して、全体としてどのような傾向があるかを明らかにする方法です。
Introduction
近年、子どもの肥満が公衆衛生上の重要課題となっており、テレビ視聴時間とBMIとの関連が多数報告されている。このレビューは、食事や間食中のテレビ視聴と子供の食事の質との関連性を検証することが目的。
Methods
データベース検索:PubMedおよびWeb of Science(2000年1月~2014年6月)
対象研究:18歳以下の子どもを対象とした横断研究
除外条件:介入研究、追跡研究、成人対象研究、英語以外の文献
最終選定:13件の研究、計61,647人の子ども
アウトカム:食事の質(食品群別の摂取頻度)、BMI、家庭環境や社会経済的要因との関連
質評価:改訂Newcastle–Ottawa Scaleを用いて研究のバイアスリスクを評価
Results
■食習慣との関連
・高脂肪・高糖質食品の摂取増
6件中6件の研究で、ピザ、揚げ物、スナック、菓子類の摂取頻度が増加
・果物・野菜の摂取減
8件中7件で、果物・野菜の摂取頻度が有意に低下
・砂糖入り飲料(SSB)の摂取増
5件中4件で、SSB摂取量が増加
■家族の食事との関連
家族での食事中にテレビがついている場合も食事の質は低下
複数研究で、野菜、穀類、カルシウム摂取が低下、清涼飲料水や揚げ物の摂取が増加
家族で一緒に食事をとっていても、テレビがついていることで栄養的利益が損なわれる
Discussion
テレビを見ながらの食事は、食生活の質を下げ、肥満のリスク因子となり得る。
一回あたりの影響は小さくとも、習慣化されることでエネルギー過剰摂取につながる可能性がある。食育や家族の役割、スクリーン環境への配慮が重要。
Limitation
・因果関係は不明:横断研究が主体であり、因果の方向は明らかにできない。
・測定手法のばらつき:テレビ視聴や食事内容の評価方法に異質性があり、比較が難しい。
・交絡因子の調整:家庭環境などの影響を十分に調整していない研究もある。
・メディアの種類が限定的:スマートフォンやタブレットは対象外。
・家庭内食事のみに限定:保育施設や学校での行動は含まれていない。
・メタアナリシス未実施:異質性が高く、統合的な効果量の算出は行われていない。
食事は「何を食べるのか」だけでなく、「どのように食べるのか」も大事な視点です。「ながら食べ」は食事に対する感謝の気持ちを損なう可能性があり、家庭での食に関する教育としても大切だと思いました。この報告にはスマホやゲームは含まれていませんが、現在はそれらの影響も考えないといけません。

(※) Avery A, Anderson C, McCullough F. Associations between children's diet quality and watching television during meal or snack consumption: A systematic review. Matern Child Nutr. 2017;13(4):e12428.
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