子どもの健康習慣、どれだけ実践されている?
- 善導寺こどもクリニック
- 6月25日
- 読了時間: 3分
Healthy Habits 72_総論10
今回は、子どもの健康的な生活習慣を実施することの難しさを捉えたオーストラリアからの報告を取り上げます。 (※)。
この研究の概要と目的
非感染性疾患の発症には、幼少期からの不健康な生活習慣(栄養不良、運動不足、睡眠不良、口腔衛生不良、過剰なスクリーン利用など)が大きく関与している。こうした習慣は若年期に形成されやすく、親の影響が大きいとされている。
過去の研究では、特定の健康行動(例:身体活動、歯磨きなど)に関するデータは存在するものの、複数の健康行動を同時に調査し、親の関与や懸念、情報アクセスの実態まで評価した研究は少ない。
この研究の目的
・幼児(0~4歳)の健康行動9領域における実施状況、親の懸念、情報行動を調べること
・健康行動のクラスタリング(まとまり)の有無を探索的に分析すること
保護者が最も悩む「子どもの健康習慣」とは?
調査はオーストラリアで実施され、477名の保護者がオンラインで回答。
調査では、以下の9つの健康行動領域が取り上げられた:
栄養バランスのとれた食事
身体活動
歯みがきなどの口腔ケア
睡眠習慣
安全行動(交通安全など)
スクリーンタイム
日焼け予防
衛生習慣(手洗いなど)
医療ケアに関する行動(予防接種など)
その結果、約半数の子どもしか、推奨される行動の半分以上を実行できていないことが分かった。特に保護者が不安を感じていたのは、以下の項目:
歯みがき
野菜の摂取
スクリーンタイムの制限
手洗い・せきエチケット
紫外線対策
※健康行動をグループ化(クラスタリング)することはできなかった
支援が必要な保護者とは?データで見る傾向
全体として、保護者の約87%が20項目以上の行動を実践できていないと回答し、「情報は手に入りやすいが、実行は難しい」という実態が浮かび上がった。
また、ほとんどの保護者が「もし簡単に手に入るなら情報を知りたい」と答えた。
これは、知識だけでなく、「どう実践すればいいか」という支援の仕方に課題があることを示している。
具体的支援アプローチ研究から得られる実践へのヒント
情報提供だけでなく、行動支援が必要
・ペアレンティングスキルへの介入が、複数の健康行動を同時に改善する可能性
・特に「子どもの自己制御力」を育む介入に可能性がある
保護者が悩みやすい行動にフォーカスした支援プログラムや相談機会の整備
育児支援専門職(保健師・看護師・育児相談員)との連携が重要
生活習慣に関する各種ガイドラインは充実していますが、それを実生活で実行するのは難しいです。大人自身も行動変容は難しいので、今回の「子どもの自己制御力 self-regulation」というのは今後のキーワードになるかもしれないと思いました。

(※) Baker S, Morawska A, Mitchell AE. Do Australian children carry out recommended preventive child health behaviours? Insights from an online parent survey. J Paediatr Child Health. 2020;56(6):900-907.
【Healthy Habits 全記事まとめ】→ こちら
コメント