Healthy Habits 32_睡眠6
今回は、日本の幼児の睡眠習慣に影響を与える日常的な要因を調べた論文を取り上げます。(※)
INTRODUCTION
・睡眠時間が長い子供は、感情および行動の調整と認知能力が優れている
・国立睡眠財団(NSF: National Sleep Foundation)によると、幼児は1日11時間以上の睡眠をとることが推奨されている
・0~36か月の子どもを対象とした各国の比較では、日本の子どもの総睡眠時間が最も短い
・「ねんね基準」というものを独自に設定
✓22時までに就寝
✓夜間の睡眠時間が9時間以上
✓入眠後の覚醒時間が1回未満
・米国では約10%の幼児が22時以降に就寝するが、日本では約40%の幼児が22時以降に就寝することが多い
・社会的時差ぼけ(social jetlag)も日本の子どもたちに多く、1-6歳の53%に認める
幼児の睡眠関連習慣の大規模なサンプルを蓄積し、「ねんね基準」の遵守を検討し、日本の幼児の睡眠問題に影響を与える要因を明らかにする
METHODS
・オンライン調査の横断的データ
・2019年3月にデータを収集
・18~30か月の2124人の少なくとも4日連続のデータ
睡眠に影響を与える毎日のスケジュールを、「ねんね基準」を満たすグループと満たさないグループで比較
RESULTS
□39.3%が22時以降に就寝し、47.0%が夜間に9時間未満の睡眠時間だった
□「ねんね基準」を満たしたグループは、満たしていないグループよりも日中の行動が良好だった。
※NSF基準に従って分けた場合(睡眠時間が11時間以上か未満か)では、この差は認めなかった
(日中の行動とは、「自分で目覚める」「朝のご機嫌」「朝食の食欲」「日中のご機嫌」)
□睡眠には、メディア視聴を制限し、午前中に屋外で遊び、昼寝を早めに終わらせ、就寝前に過覚醒を誘発する行動を避け、日々のスケジュールを規則正しく維持し、社会的時差ぼけを減らすことが重要であることが明らかになった。
リミテーションとして、
・養育者の主観的報告 ・インターネット調査のため選択バイアス
・社会的側面の調整が少ない ・オンライン調査の信頼性
などが挙げられていました。多くの子どもたちの睡眠状況を把握するためには、養育者の報告以外で現実的に頼れるものはなく、今の時代は対面で調査というのもなかなか難しいと思います。
睡眠環境を含めた生活習慣は国によって異なるため、日本の実情にあった「ねんね基準」や、養育者への具体的なアドバイスも書かれていてとても参考になりました。アドバイス例として紹介されていたものをまとめました。
(※) Murata E, Yoshizaki A, Fujisawa TX, Tachibana M, Taniike M, Mohri I. What daily factors affect the sleep habits of Japanese toddlers?. J Clin Sleep Med. 2023;19(6):1089-1101.
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