top of page

当クリニックは、Web予約制です

お電話からもお気軽にお問い合わせください。

何かを見つめる子ども

お知らせ

スクリーンタイムかんしゃく 子ども

  • 善導寺こどもクリニック
  • 9月25日
  • 読了時間: 4分

更新日:10月4日

Healthy Habits 78_スクリーンタイム14


「Screen time tantrums」という興味深いキーワードを最近よく見かけるようになりました。日本語では「スクリーンタイムかんしゃく」と言うのでしょうか。今回はそれに関連したメディア使用と癇癪(かんしゃく)、感情制御についての論文を読んでみました。(※)

背景

・乳幼児のメディア利用は急増

0〜3歳児の75〜96%が毎日メディアを使用し、2歳未満でも平均1時間/日視聴。


・乳幼児期は情動制御の獲得が重要

2〜3歳は自己制御・感情調整を学ぶ発達的に重要な時期。


・親のメディア活用

親は子どもの癇癪などに対し、スマホやタブレットを与えて落ち着かせるケースが増加。


メディアによる情動調整(Media Emotion Regulation : MER)は、長期的に問題的メディア使用(Problematic Media Use : PMU)に関連する可能性があるが、乳幼児期を対象とした研究はほとんどなかった。


目的:子どもの気質、親のメディア情動調整(MER)、問題的メディア使用(PMU)の関連を明らかにする。メディア使用制限時の情動反応(tantrums)も同時に評価。

Methods

対象は2〜3歳児とその主養育者269組(米国)

<測定項目>

○子どもの気質:ECBQ-SFを使用し、①ネガティブ気質、②外向性・活動性、③努力的制御の3領域を評価


○問題的メディア使用(PMU):PMUM-SFにより、興味喪失・使用増加・離脱症状・依存傾向を測定


○親のメディア情動調整(MER):著者ら開発の8項目尺度で、子どものネガティブ情動を落ち着かせる目的でスマホやタブレットを使用する頻度を評価


○メディア使用時の情動反応:メディア停止時の癇癪や情動変化を観察

○親自身のメディア使用:自己申告による1日平均使用時間

<解析>

構造方程式モデリング(SEM)

媒介効果:MERがPMU、癇癪への影響を媒介するかを検討

共変量:年齢・親の学歴・婚姻状況・親のメディア使用時間

Results

■主要経路         β            p値

ネガティブ気質 → MER   0.25       <.001    気難しい子ほど親がメディアでなだめる

外向性・活動性 → MER   0.18       .007       活発な子でもMERは多い

努力的制御   → MER   −0.14   .04         自制が高い子ではMERは少ない

MER → PMU          0.22       .001       MER多用がPMU増加に関連

MER → 強度情動反応      0.37       .002       MER多用児はメディア中止で癇癪を起こしやすい

(MER:親のメディア情動調整、PMU: 問題的メディア使用)


■媒介経路

ネガティブ気質 → MER → PMU

間接効果 β=0.055, p=.01


外向性・活動性 → MER → PMU

間接効果 β=0.040, p=.049

→ つまり、子どもの気質が直接PMUを増やすのではなく、親のMERを介してPMUにつながる。

Discussion

MERの影響

親が頻繁にメディアで子どもを落ち着かせると、自己情動調整スキルが育たず、メディア依存傾向が強まる。MERが多い子ほど、メディア停止時に強い癇癪反応を起こしやすい。


気質との関係

ネガティブ気質(癇癪を起こしやすい子)ほどMERに頼られやすく、結果としてPMUが高まる。外向的で活動的な子もMERを多用されやすい。努力的制御が高い子はMERが少なく、PMUリスクも低い。


臨床的含意

2〜3歳は自己情動調整能力の獲得期。メディアを主な情動調整手段とすると、発達課題が阻害される可能性がある。メディアに頼らない情動調整方法(共感的対応・言語的支援・身体的な安心感の提供など)を推奨すべき。


limitation

横断研究のため因果関係は不明 → 縦断研究が必要

親の自己報告に依存 → 観察データの充実が望ましい

父親の影響も未検討 → 両親を対象とした研究が必要

スマホやタブレットで子どもを静かにさせることは、多くの親にとってよくある対応だと思います。著者らは、こうした方法はその瞬間は親子双方にとって便利に感じられる一方で、長期的な影響を考えると注意が必要かもしれないと指摘しています。幼児期は感情を調整する力を育てていく大切な時期であり、「嫌な気分はスマホで消すもの」という学習が繰り返されることへの懸念が示されていました。癇癪を起こしている子どもを見たとき、私たちが意識したいのは、最終的にスマホを渡すかどうかを決めているのは大人であるという点です。今回の結果は、そのことを示唆するものと考えられます。

ree

(※) Coyne SM, Shawcroft J, Gale M, Gentile DA, Etherington JT, Holmgren H, Stockdale L. Tantrums, toddlers and technology: Temperament, media emotion regulation, and problematic media use in early childhood. Comput Human Behav. 2021 Jul;120:106762.


【Healthy Habits 全記事まとめ】こちら



コメント


福岡県久留米市の小児科

善導寺こどもクリニック

 久留米市善導寺町・田主丸町・うきは市で小児科なら善導寺こどもクリニックへ

福岡県久留米市善導寺町飯田272-7

【休診日】木曜午後、日曜、祝日

■土曜の午後は、16時までの診療です。ご注意ください。
当院は14時~16時までは予防接種と健診の専用時間帯

©2021 善導寺こどもクリニック. All Rights Reserved.

bottom of page