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善導寺こどもクリニック

未就学児のスクリーンタイム(カナダ)

Healthy Habits 51_スクリーンタイム10


今回は、カナダ小児科学会の未就学児スクリーンタイムに関するポジションステートメントを読みました。(※)


Screen time(スクリーンタイム)とは、

テレビ・コンピューター・ゲーム機・スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末などの画面に費やされる時間と定義

【幼少期の経験の重要性】

・幼児は人間関係のなかで成長していく

・幼児期早期のスクリーンタイムの習慣はその後の人生にも影響する

・この時期のスクリーンタイムは親によって制御することが出来るため、修正が容易

乳幼児の言語習得、認知発達、社会感情的健康に影響を与える可能性があるため、スクリーンタイムの制限が不可欠

【スクリーンタイムが発達に与える影響】

幼い子どもたちは、face-to-face interaction で学習する。

スクリーンから見たものを実生活に移すのはまだ難しく、スクリーンから効率的に学ぶことはできない。

ライブで、双方向で、リアルな時間と空間の中で、リアルな人たちと経験することが、子どもたちにとって最も必要。


メリット

新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、幼児向けのインタラクティブなビデオ通話や読み聞かせが学習に有益であることを示した。質の高いスクリーンメディアは、言語やリテラシーの向上に役立ち、特にインタラクティブなアプリや教育ゲームが効果的。ただし、語彙や表現の学習には、直接的な大人との対話が最も効果的。


リスク

幼児期の言語遅延は、スクリーンタイムとの関連が指摘されている。

特に背景テレビの長時間視聴が言語能力や認知発達に悪影響を及ぼす。

スクリーン使用が多いほど、語彙や文法の遅れ、注意力の低下、実行機能の発達に悪影響を与える。電子書籍やインタラクティブなスクリーンは、親子の対話を減らし、物語の理解や集中力に影響を与える可能性がある。

【スクリーンタイムが心理社会的に与える影響】

メリット

質の高いコンテンツは、

2歳以上の子供の社会的・言語的スキルを向上させる

非暴力的態度や共感、寛容さを学ぶのに役立つ

創造力や遊び、表現的な言語を促進する可能性がある

子供を落ち着かせたり、長時間の待機を楽にする手段として有用


リスク

過度なスクリーンタイムは、

親子の対面での質の高い交流を妨げる

自己調整能力の欠如や感情の調整にスクリーンへの依存が生じる恐れがある

外向的な行動や社会的スキルに悪影響を与え、自己規制能力の低下や感情の不安定さを引き起こす可能性がある

社会的学習を妨げ、認知機能や実行機能の発達にも悪影響を与える


‘Technoference’(テクノファレンス)―

デジタルメディアの使用によって、日常生活や遊び、交流が頻繁に中断されること


※Highest cost※

幼い子どもにとってスクリーン時間の長すぎがもたらす最大のコストは、社会的学習や練習の機会を失うこと

【スクリーンタイムが身体の健康に与える影響】

メリット

・一部のアプリやゲームは、身体活動を促進し、特に「エクサゲーミング」やダンス、ヨガ、運動系アプリが幼児に対して運動能力や自己肯定感を向上させる効果がある。

・アクティブなデジタル遊びは、心拍数やエネルギー消費を増加させ、運動量を増加させることができる。

・屋外遊びを促進する自然探索アプリも、子供たちの積極的な遊びを支援する。


リスク

・過剰なスクリーン使用が、肥満や近視のリスクを高める可能性がある

・基本的な運動スキルや手先の器用さに悪影響を与える

・テレビの広告は不健康な食品を促進し、子供の食事習慣が悪化し、過食が増える可能性がある

・寝る前のスクリーン使用は、睡眠障害や夜間睡眠の質の低下と強く関連している

具体的な推奨
  • 2歳未満:ビデオチャットを除いてスクリーンタイムは避ける。

  • 2~5歳:スクリーンタイムは1日1時間以内に制限する。

  • 日常的な子ども向けケアでのスクリーンタイムは避け、食事や絵本の読み聞かせの時間など、スクリーンなしの時間を設ける。

  • 寝る前1時間はスクリーンを避ける。

  • スクリーンを使う際は子どもと一緒に視聴し、デジタルリテラシーを育む。

  • 教育的で年齢に適したインタラクティブなコンテンツを選ぶ。

  • 創造的な活動(例えば、絵を描く)にスクリーンを使い、受動的な視聴は避ける。

  • スクリーンなしで自己調整スキルを育む。

  • コンテンツの管理を行い、広告や商業的なコンテンツの露出を減らす。

  • 現在のスクリーン習慣を自己評価し、家族メディアプランを作成する。

  • 子どもが一人で使うよりも家族で一緒にスクリーンタイムを楽しむ(テレビや映画の視聴、ゲームなど)。

  • 上の子が下の子にデジタルメディアの使い方を教える。

  • スクリーンタイムは家族全員で楽しむアクティビティにする。

  • スクリーンを使わない活動(外遊び、読書など)を積極的に行う。

  • 家族の時間ではデバイスをオフにし、バックグラウンドでテレビを流さない。

  • 保育施設や学校、地域でスクリーン使用に関する健康的なポリシーを推進する。

 

内容が網羅的で頭の整理になりました。メリットとリスクそれぞれが、現時点でわかっている情報をもとにわかりやすくまとめられていました。

(※)Ponti M. Screen time and preschool children: Promoting health and development in a digital world. Paediatr Child Health. 2023;28(3):184-202.



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