Healthy Habits 28_スクリーンタイム 5
今回は、スクリーンタイムと親子の会話との関連を調べた論文(※)を取り上げます。
早期の言語曝露は子どもの言語発達、社会的情緒の発達、IQ、脳機能との相関があることがわかっている。
“technoference” (technology-based interference)
テクノフェレンスと呼ばれる現象は、スクリーンデバイスの使用が、子どもとの日常的な接触の機会を妨げていることを意味する。
この研究は、生後3年間における子供のスクリーンへの露出と親子間の会話の3つの尺度[(1)大人の言葉、(2)子供の発声、(3)親子間のやりとり(または会話のターン)]との長期的な関連性を理解することを目的としている。
Methods
オーストラリアで行われた前向きコホート研究
2018 年 1月 から2021年12月 まで
最終的に220家族が参加
子どもが12、18、24、30、36か月のときにデータを収集
(6 か月に 1 回、研究者が家庭訪問しアンケートと機械を使用)
言語環境分析 (LENA) と呼ばれる高度な音声認識技術を使用して、6 か月に 1 回、16 時間記録
調整された各モデルでは、子供の性別、子供の月齢、母親の教育レベル、主な養育者の自己報告による精神的苦痛、家庭活動の平均数、兄弟数が制御
子どものスクリーン曝露と親子の会話変数との関連性を推定
線形混合効果モデルを使用(linear mixed-effect models )
Results
✓スクリーンタイムの増加が親子の会話の測定値の減少と関連していた。
最も大きな減少は 36 か月で見られ、スクリーンタイムが 1 分長くなると、大人の単語数が 6.6(95% CI, -11.7 to -1.5)、子どもの発声数が 4.9(95% CI, -6.1 to -3.7)、会話ターン数が 1.1(95% CI -1.4 to -0.8)減少した。
オーストラリアの家族におけるテクノフェレンスの概念を裏付けるものであり、幼い子どもがスクリーンタイムにさらされることで、家庭環境で会話や交流の機会が妨げられていることを示している。
実際の親子の会話を、機械を用いて記録するというユニークな研究でした。
結果は想定通りのもので、スクリーンタイムは親子の会話や交流を減少させるというものでした。この論文のDiscussionでも述べられていたことですが、だからといって「スクリーンタイムをゼロにしよう」というのは現実的な提案ではありません。スクリーンタイムを子どもとのコミュニケーションのきっかけにしたり、一緒に楽しんだりすること「interactive co-viewing」を提案することも必要です。もちろん過剰すぎる使用は制限されるべきと考えますが。
(※)Brushe ME, Haag DG, Melhuish EC, Reilly S, Gregory T. Screen Time and Parent-Child Talk When Children Are Aged 12 to 36 Months. JAMA Pediatr. 2024;178(4):369–375.
Comments