子どもの身体活動は1日何歩が目安?
Healthy Habits 99_身体活動16
様々なガイドラインで、小児・思春期の身体活動は1日60分程度の中高強度身体活動(MVPA)が推奨されています。今回はこの推奨が歩数でいうとどれくらいに相当するのかを調べた論文を取り上げます。 (※)
この論文が出た当時、身体活動を測るために加速度計が使用されるようになってきていた。
そこで、身体活動ガイドラインに沿うための子どもの歩数がわかっていなかったため、機器を用いて歩数目標値を提案することが目的とされた。
Methods
対象は、6〜19歳の小児・青少年のうち、4日以上の有効な加速度計データが得られた1613人。身体活動は、Actical加速度計を腰部に装着して評価された。この機器では、1分ごとの加速度カウントから活動強度を分類できるだけでなく、同時に歩数も記録できる。そのため、各有効日について「1日のMVPA合計時間」と「1日の総歩数」を算出することが可能であった。
解析では、1日単位で集計したMVPA時間と総歩数の関係を回帰分析で検討した。「MVPAが長い日ほど、1日の総歩数も多い」という関係をもとに、MVPAが60分に達する日の総歩数が平均的に何歩程度になるかを推定した。
さらに、データを推定用サンプルと検証用サンプルに分け、得られた歩数基準が加速度計で測定されたMVPA 60分以上の達成をどの程度判別できるかを検証した。従来用いられていた13,500歩/日の基準や、8,000〜15,000歩/日の複数の候補値と比較し、感度・特異度およびROC解析により最適な歩数基準を評価した。
Results
1日の総歩数は1日のMVPA時間と強く相関していた。(全体では歩数とMVPA時間の相関係数はr=0.81)
年齢別にみると、平均MVPA時間および平均歩数は年齢が上がるほど低下していた。
全体として男児の方が女児よりMVPA時間、歩数ともに多い傾向がみられた。
回帰分析により、「1日60分のMVPA」に相当する歩数を年齢・性別ごとに推定したところ、その値は11,290〜12,512歩/日の範囲だった。年齢・性別による差は統計的には考慮されたものの、実際の推定値の幅は比較的狭かったため、実用性を重視し、6〜19歳に共通する目標として12,000歩/日を提案している。
検証用サンプルでは、加速度計で評価したMVPA 60分以上の達成日は37.5%であった。これに対して、12,000歩/日を基準にすると達成日は40.3%となり、実際のMVPA達成割合に近い値であった。一方、従来用いられていた13,500歩/日を基準にすると達成日は30.6%となり、MVPA達成割合を過小評価する傾向がみられた。
また、ROC解析においても、感度と特異度のバランスが良い範囲に位置していた。(感度0.83、特異度0.81)
Discussion
6〜19歳の小児・青少年において、1日60分のMVPAに相当する歩数として、12,000歩/日が実用的な目安となることが示された。
これまでカナダでは13,500歩/日という基準が用いられていたが、本研究ではこの基準では身体活動推奨を達成している子どもを過小評価する可能性が示された。一方、12,000歩/日は、加速度計で評価したMVPA 60分以上の達成割合により近く、感度と特異度のバランスも良好であった。
年齢や性別によって推定値には多少の差があったものの、その範囲は比較的狭かったため、著者らは実用性を重視して、6〜19歳に共通する単一の目標値として12,000歩/日を提案している。
本研究の強みは、全国代表性のあるデータを用い、加速度計によるMVPAと歩数を同時に測定している点である。一方で、歩数は測定機器によって差が出る可能性があり、また週平均歩数だけでは「毎日60分以上」というガイドラインの達成を厳密には評価できない点には注意が必要である。
以上より、12,000歩/日は、子どもの身体活動を日常的に評価するための分かりやすい指標であり、身体活動ガイドラインを家庭や学校、臨床の場で伝える際に有用な目安になりうる。
抽象的になりがちな「1日60分の身体活動」を、日常生活でイメージしやすい「歩数」に置き換えることができました。もちろん、歩数だけで子どもの運動の質をすべて評価することはできません。それでも、活動量を親子で振り返るための指標として、1日12,000歩という目安はとても実用的です。身体活動の推奨を、家庭や診療の場で使いやすい言葉に翻訳してくれる報告だと思いました。

(※) Colley RC, Janssen I, Tremblay MS. Daily step target to measure adherence to physical activity guidelines in children. Med Sci Sports Exerc. 2012;44(5):977-982.




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