「たくさん遊べばよく眠る」は本当か? 健康な子どもの身体活動と睡眠の関係
- 善導寺こどもクリニック
- 4月15日
- 読了時間: 3分
Healthy Habits 92_身体活動15
今回は、3〜13歳の健康な子どもを対象に、身体活動と睡眠の関係を検討した論文をとりあげます。(※)
成人や思春期では、運動と睡眠の間に良い関係があることが報告されています。
子どもについてはどうなのでしょうか。
Introduction
身体活動と睡眠は、いずれも子どもの健康に重要な行動である。これまで、それぞれが身体的・心理的・認知的・社会的健康と関連することが示されてきた。一方で、身体活動と睡眠の関連については、成人や思春期では検討されているものの、健康な子どもでは十分に明らかになっていない。そこで本研究では、健康な3〜13歳児における身体活動と睡眠の関連を、系統的レビューおよびメタ解析により検討した。
Methods
研究対象は、3〜13歳の健康な子どもで、身体活動と睡眠の関連を検討した観察研究が対象とされた。文献検索は複数のデータベースを用いて行われ、最終的に47研究が系統的レビューに、そのうちメタアナリシス可能な研究が統合解析に含まれた。
身体活動および睡眠は、客観的方法または主観的方法で測定された研究が含まれた。
統合解析では、身体活動と睡眠の関連を相関係数(r)としてまとめ、ランダム効果モデルを用いて解析が行われた。
また、研究の質評価および、年齢・性別・測定方法などを考慮した追加解析も実施された。
Results
採用された研究
文献検索の結果、47研究が系統的レビューに含まれ、合計 62,081人 の子どもが対象となった。対象児の平均年齢は 3.9〜13.4歳 で、多くは横断研究であった。
全体の結果
身体活動と睡眠の関連を統合した結果、全体として有意な関連は認められなかった
(r = 0.02, 95% CI −0.03 to 0.07)。
一方で、研究間のばらつきは大きかった(I² = 93%)。
追加解析
あらかじめ設定された追加解析では、vigorous physical activity (高強度活動)と睡眠時間の間に、弱いながら有意な関連が認められた。
出版バイアス
出版バイアスについては、大きな偏りを示す明確な所見は認められなかった。
Discussion
本研究では、健康な子どもにおいて、身体活動と睡眠の間に一貫した関連は認められなかった。この結果は、成人や思春期で示されてきた知見とは一致しない可能性がある。
著者らはその理由として、子どもでは身体活動と睡眠の関係がより複雑である可能性を示唆している。一方で、追加解析では、高強度の身体活動や睡眠時間について、ごく弱い関連が認められた。
いくつかの限界があり、多くが横断研究であること、身体活動・睡眠の測定方法が研究ごとに異なること、研究間の異質性が大きいことが挙げられている。
Conclusions
健康な子供の身体活動と睡眠の間にほとんど関連性がなく、双方向の関係を示す十分な証拠も得られなかった。活発な身体活動が子供の睡眠を改善するための効果的な手段となり得るかどうかを明らかにするには、特に実験研究や縦断研究など、より多くの研究が必要。
私たち大人では、運動をするとよく眠れる、睡眠の質が良くなるという関係が知られています。青年期においても、研究的には同様に「身体活動→睡眠」という関係が示されています。一方で今回の論文は、子どもの睡眠がそれほど単純ではないことを示していました。
「たくさん動けばよく眠る」という関係にはならないようで、日常診療の実感とも重なる興味深い結果でした。

(※)Antczak D, Lonsdale C, Lee J, et al. Physical activity and sleep are inconsistently related in healthy children: A systematic review and meta-analysis. Sleep Med Rev. 2020;51:101278.
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