食べ方と咀嚼機能は小児肥満と関連
- 善導寺こどもクリニック
- 4月8日
- 読了時間: 3分
Healthy Habits 91_食事16
今回は、食べ方と咀嚼機能は小児肥満に関係するか、大阪の小学生を対象とした横断研究を取り上げます。(※)
Introduction
小児肥満は将来の心血管疾患、2型糖尿病、メタボリック症候群のリスクとなるため、早期からの予防が重要とされている。一方、歯科領域では近年「咀嚼機能と全身健康」の関連が注目されている。本研究では、食べ方、咀嚼能力と小児肥満の関連を検討。
Materials and methods
大阪市の小学4年生 1,403人(9–10歳)。
2023年4月〜2024年3月に学校健診および歯科検診を受けた児童が対象。
歯科診査
学校歯科医により以下を評価。DMFT指数(う蝕経験歯数)、歯の萌出状況、Hellman歯列発育段階
WHOの口腔調査基準に基づき診査が行われた。
■食行動(質問票)
児童本人への質問票で以下を評価。
早食い、口いっぱい食べる、硬い食べ物が嫌い
質問項目は既存研究を参考に作成された。
■咀嚼能力
色変化チューインガムを用いて客観的に評価。
1秒1回のペースで 60回咀嚼、咀嚼後のガムの色変化を画像解析でスコア化
スコア 1.0–10.0、解析では下位25%を「低咀嚼能力」と定義。
■肥満の評価
身長と体重から肥満度を算出。肥満度 ≥20% を肥満と定義。
■統計解析
肥満群と非肥満群の比較にはχ²検定を使用。
肥満との関連評価には多変量ロジスティック回帰分析を用いた。
説明変数:食行動、咀嚼能力
調整因子:DMFT指数、Hellman歯列発育段階
Results
・肥満率は11.8%
多変量ロジスティック回帰解析の結果、全体集団では
・男児
・早食い
・咀嚼能力の低さ
が肥満と有意に関連していた(OR 1.54、1.73、1.50)。
男児に限定した解析では
・早食い
・口いっぱいに食べる習慣
・咀嚼能力の低さ
がいずれも肥満と有意に関連していた(OR 1.84、1.59、1.63)。
一方、女児では有意な関連は認められなかった。
さらに、早食いと咀嚼能力低下の両方を有する場合、肥満との関連が最も強く、特に男児では OR 3.00 と最も高かった。
Discussion
著者らは、咀嚼が少ないと満腹感の遅れ、食事量増加、消化過程の変化などが生じ、肥満に関連する可能性があると考察。
<研究の限界>
横断研究で因果関係は不明、食事内容や運動量を評価していない、質問票の妥当性検証が十分ではない
Conclusions
9歳から10歳の児童において、早食い、口いっぱいに食べ物を詰め込んだ状態での食事、咀嚼能力の低下は、特に男子において肥満と関連していた。さらに、早食いと咀嚼能力の低下を合わせると、肥満との関連性はさらに高かった。
食べ方と体重には関連がある可能性があり、ゆっくり食べる習慣は健康的と考えられます。
今回示されたのはあくまで関連であり、その背景には家庭の食習慣や生活リズム、身体活動量など、さまざまな要因が関与している可能性があります。
それでも、「何を食べるか」だけでなく「どのように食べるか」にも目を向ける視点は、小児肥満を考えるうえで重要だと思います。

(※)Kosaka T, Hiramatsu R, Otsugu M, et al. Chewing habits and masticatory performance are associated with obesity in 9- to 10-year-old children: A cross-sectional study from the Osaka MELON Study. J Dent. 2025;156:105666.
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