ファストフード摂取頻度と小児の体重増加 子ども
- 善導寺こどもクリニック
- 10月2日
- 読了時間: 3分
Healthy Habits 79_食事14
今回は、ファストフード摂取と子どもの体重変化について調査した米国からの報告をとりあげます。(※)
Introduction
子どもの肥満は世界的に増加しており、生活習慣病リスクを高める大きな問題。
特にファストフードはカロリーや糖質・脂質が多いため、子どもの体重に与える影響が注目されている。これまでの研究でも「ファストフードをよく食べる子は太りやすい」と言われてきましたが、「週に何回食べると、どれくらいリスクが上がるのか」という具体的なデータは十分ではなかった。
今回、ファストフード摂取の回数と子どもの体重区分の変化(正常→過体重→肥満)との関係を、1年間追跡して調べた。
Methods
対象:3〜5歳の子ども 541人
追跡期間:1年間
データ収集:
ファストフード摂取:2か月ごとに計6回アンケート(週あたりの平均回数を算出)
体重区分:研究開始時と1年後に実測(正常・過体重・肥満に分類)
他の要因(交絡因子):年齢・性別・運動・睡眠・食事習慣・家庭環境・親のBMIなどを統計的に調整
統計解析:
まずは群ごとの単純比較(t検定・χ²検定・ANOVA)
主要解析はPoisson回帰+ロバスト標準誤差を用いて、体重区分が1段階上がる相対リスク(RR)を算出
感度解析(男女別、連続変数での解析、ベースライン食習慣を加味したモデルなど)も実施
Result
ファストフード摂取頻度は平均1.6回/週
最も多く利用されていたのは、
「コーヒー/ドーナツ店(47.2%)」と「バーガー店(43.1%)」だった。
・ファストフード摂取頻度と体重の変化の関連
1年後に体重区分(正常体重 → 過体重 → 肥満)が1段階上がった子どもは 44人(約8%) だった。
統計解析の結果、ファストフードを食べる頻度と体重区分の上昇には「正の相関関係」があることが確認された。
具体的には:
週に1回増えるごとに、体重区分が1段階上がるリスクは約1.38倍に上昇
週3回以上食べる子は、週0回の子に比べて約2.2倍のリスク
この傾向は男女ともに同じで、統計手法を変えても結果は大きく変わらなかった。
Discussion
就学前期のファストフードの摂取が肥満リスクと健康に有意で独立した影響を及ぼす可能性があることを示した
リミテーション
・地域的なサンプル
・人種的・民族的多様性の低さ
・身体活動評価が粗い
・他の食生活の評価が不足
・他の外食による影響
・脱落群と背景が異なっている可能性
本文では、米国の子どもの3人に1人が毎日ファストフードを食べていると記載されていました。日本の子どもたちはそこまでの頻度で食べていないとは思いますが、ファストフードの「摂取頻度」の点から食事指導を行うことが、保護者への分かりやすいメッセージになるかもしれないですね。

(※)Emond JA, Longacre MR, Titus LJ, et al. Fast food intake and excess weight gain over a 1-year period among preschool-age children. Pediatr Obes. 2020;15(4):e12602.
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