Healthy Habits 46_総論5
今回は、百歳以上と関連するライフスタイルを調査した論文を読みました。(※)
Introduction
最近の数十年間で、平均寿命は増加した。
健康的な老化と長寿には、社会的要因や遺伝的要因に加え、修正可能なライフスタイル要因も重要。百歳以上の高齢者が増える中、彼らの健康状態が向上しているという観察があり、長寿に関連するライフスタイル要因を探ることが重要。
Methods
中国の全国規模の長寿健康調査
調査は1998年から2018年まで8回実施
80歳以上の17,917人を対象にし、最終分析には5222人が含まれた。
健康的ライフスタイルスコア
健康的ライフスタイルスコア(HLS)
喫煙・アルコール使用・運動・食事の多様性・BMIの5つの要素で構成
各要素を0(悪い)~ 2(良い)で評価
これらのスコアを合計し、0~10でスコアを算出
80歳以上向けにHLSを再構築し、HLS-100としてBMIとアルコール使用を除外。
共変量の評価
年齢、性別、居住地、教育年数、婚姻状況、慢性疾患の自己申告歴を調査。死亡の確認は、亡くなった参加者の家族から情報を収集し、公式な死亡証明書で確認。
統計分析
多変量条件ロジスティック回帰モデルを使用して、HLSと百歳以上になることの関連を評価。
ライフスタイル要素の個別の影響も調査し分析。
Results
5222名の参加者
1454名の百歳以上と、3768名の対照群(百歳未満で亡くなった参加者)がマッチング
・61.7%が女性で、平均年齢は94.3歳
基本的な特性において、百歳以上と対照群の間に有意な差なし
・健康的ライフスタイルスコア(HLS)が高いほど、百歳以上になる可能性が増加することが確認された
最高スコア群(8-10)と最低スコア群(0-5)間の調整オッズ比(AOR)は1.33(95% CI: 1.10-1.62)
・個々の要素では、喫煙をしないこと、運動、食事の多様性が百歳以上になる可能性と有意に関連、アルコール使用やBMIには関連なし
・HLS-100を再構築し、喫煙状況、運動、食事の多様性のみを含めた分析を行ったところ、AORは1.61(95% CI: 1.32-1.96)とさらに高かった
・健康的ライフスタイルスコアと居住地、教育年数、婚姻状況、慢性疾患、アルコール使用、BMIとの相互作用は認められなかった
Discussion
どれか一つではなく全体的なライフスタイルが重要。
特に、喫煙をしないこと、運動をすること、多様な食事がセンテナリアンになる確率を高める要因として浮かび上がった。
ただし、過去のライフスタイルに関する情報が不足していたため、若い頃の影響を完全には評価できない。その他、自己申告によるデータが多いことや、観察研究であることなどがリミテーション。
このブログでは小児領域の話題を扱っていますが、今回は高齢者を対象にしたライフスタイル調査を取り上げました。特に、喫煙をしないこと、運動をすること、多様な食事をすることがCentenarian(センテナリアン)=百寿者になる可能性を高めるという結果で、長い間の習慣が大切と言えそうです。
(※) Li Y, Wang K, Jigeer G, et al. Healthy Lifestyle and the Likelihood of Becoming a Centenarian. JAMA Netw Open. 2024;7(6):e2417931.
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