Healthy Habits 36_事故予防 4
今回は、夏休み真っ只中のため 熱中症を取り上げます。
スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック(※1)を中心にまとめました。
1975年~2017年の間に学校管理下の熱中症死亡事故は170件発生しています。
圧倒的に男子に多く、発生時期は7-8月がほとんどで、10時から16時の間に多く発生しています。運動開始から発症までの時間は必ずしも長時間とは限らず、約4割が2時間以内で発生しています。
「スポーツによる熱中症死亡事故は無知と無理によって健康な人に生じるものであり、適切な予防措置さえ講ずれば防げるものです。」とあるように、熱中症は予防が大切です。
【熱中症予防5か条】
1 暑いとき、無理な運動は事故のもと
2 急な暑さに要注意
3 失われる水と塩分を取り戻そう
4 薄着スタイルでさわやかに
5 体調不良は事故のもと
暑さの指標として、WBGT(Wet-Bulb Globe Temperature)が用いられ、「暑さ指数」とも言われています。この「暑さ指数」をもとに、どのように運動したらよいのかの目安を示したものが以下の表です。
熱中症予防情報サイト(※2)で各地の「暑さ指数」がすぐにわかりますので、運動をする時や外遊びをする時には参考にしましょう。子どもにとってWBGT 31℃以上は、大人以上に過酷な熱ストレスとなるため、「運動は原則中止」と判断しましょう。
(※2)で福岡県久留米を選択して表示したもの(7/31アクセス)
■暑さへの慣れ
体が暑さに慣れることを暑熱順化と言います。
8月から体を慣らすことは現実的ではありませんが、熱中症予防のためには少しずつ暑さに慣れることは大切です。中学生のスポーツにおける暑熱順化に関する推奨では(※3)、少なくとも14日以上の連続した暑熱順応期間を実施するよう記載されています。
■予防・治療には何を飲めばよいか(※3)
熱中症の徴候を認めた際には特に塩分と水分が適切に配合された経口補水液が適切である、とされています。
市販のスポーツドリンクと経口補水液の成分の違いは一目瞭然で、経口補水液はスポーツドリンクよりも電解質濃度が高く、水と電解質の吸収を速めるために、糖分は少なく作られています。
8月も気温の高い日が続きます。
子どもの熱中症予防を改めて意識して楽しい夏休みをお過ごしください。
(※1)スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック
(※2)熱中症予防情報サイト 暑さ指数(WBGT)の実況と予測
(※3) Adams WM, Hosokawa Y, Casa DJ, et al. Roundtable on Preseason Heat Safety in Secondary School Athletics: Heat Acclimatization. J Athl Train. 2021;56(4):352-361.
(※4)熱中症診療ガイドライン2015
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