Healthy Habits 2_総論 2
今回は、「健康的な生活習慣が、その後の健康に繋がるのか?」をテーマに台湾から報告された論文です(※1)。「健康」を定義することは簡単ではありませんが、この論文での定義は「母親が評価する健康状態」と設定されています。健康的な生活習慣を評価する指標は、著者らが作成したCHLPF Indexという指数です。
方法
2005年に生まれた18553人の子どもを対象にした出生コホート研究
3歳時のCHLPF Index、8歳時の子どもの健康状態との関係を調べた
CHLPF Index(最高点は5点)
(1)毎日野菜や果物を食べているか(YES=1、NO=0)
(2)毎日身体活動を行っているか(YES=1、NO=0)
(3)食事前やトイレ後に手を洗っているか(YES=1、NO=0)
(4) テレビ視聴は 1 日 2 時間未満か(YES=1、NO=0)
(5) 子供は家庭で受動喫煙にさらされているか(YES=0、NO=1)
低(スコア≦1)、中低(スコア=2)、中高(スコア=3)、高(スコア≧4)に層別化
「子供の健康状態を全体的にどのように評価しますか?」と質問し、非常に良い・良い・普通・悪い・非常に悪い の5段階で評価
良好な健康状態 =「非常に良い」「良い」
良好でない健康状態 =「普通」「悪い」「非常に悪い」 としている
結果
CHLPF スコアが高い子供は、CHLPF スコアが低い子供よりも、母親が子どもの健康状態が良いと評価していた。8歳の時点で、母親が子どもを健康と評価した割合は、CHLPFスコアが高くなるほど、大きくなった。子どものCHLPFスコアが母親による健康評価の有意な予測因子であることが示された。
結論
幼児期の高レベルの健康的な生活習慣が学齢期の健康に良い影響を与える
子供の健康を促進するために、健康的な生活習慣への早期介入にもっと注意を払うべき
■何をもって「健康」と評価するのかは難しく、また「生活習慣」に関しても養育者の自己申告によるもので、その点が調査の限界として挙げられています。しかし、「健康的な生活習慣が、その後の健康に繋がる」という一見すると当たり前の事を、大規模な調査で証明した意義ある報告だと思いました。
(※1) Lin YC, Li YF, Chiang TL. Healthy living practices in families and child health: 5-year follow-up of Taiwan Birth Cohort Study. BMJ Open. 2020;10(7):e033613.
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