Healthy Habits 62_身体活動 10
今回は、日本の幼児(3~6歳)がどのくらい身体活動を行っているかを報告した論文を読みました。(※)
INTRODUCTION
幼児期(3~5歳)は、基本的な身体活動(PA)の習慣を形成する重要な時期であり、幼少期に習慣づけられたPAの習慣はその後の人生にも影響を及ぼす。PAの高い幼児は、肥満予防や運動能力の向上、心血管疾患リスクの軽減、認知発達や学業成績の向上、さらには社会性の発達など、多くの身体・心理社会的な健康上の配慮を得られることがわかっている。
各国では独自のPAガイドラインが設けられており、日本では2012年に文部科学省が「幼児期運動指針」を出している。
この研究では、3~6歳の幼児を対象に、日本のPAガイドラインの遵守率を調査するとともに、幼稚園や保育施設ごとの違いを比較することを目的とした。
METHODS
横断研究
島根県雲南市の子どもたち821人が対象
市内の全ての保育施設から募集
保護者記載による質問票で身体活動を測定
1日少なくとも60分以上遊んだ子どもはガイドラインを満たしていると判断
統計分析
標本の各特徴におけるPAガイドライン遵守の割合の差は、カイ二乗検定を用いて評価
性別と就学前学年で層別化した分析を行い、PAガイドライン遵守の割合の違いを検討
RESULTS
最終的に441人のデータが集まった
mean age 5.3; SD, 0.8 years; boys: 55.6%
292/441(66.2%)がガイドラインを満たしていた
男児の方が、遵守率が高かった
学年、園の種類での有意差はなかった
DISCUSSION
他国の報告と比較して遵守率は高かった
→質問票の尋ね方が関係している可能性
男児の方が遵守率が高い
→以前の日本からの9-15歳の報告でも性差があったので、幼児にも当てはまると言える
園の間で遵守率のばらつきが大きかったのは注目すべき点
→教育理念が異なっている可能性
リミテーション
比較的田舎の自治体で行われたこと
質問票の精度
保護者の認識の程度
Figure 4には、園毎の遵守率が示されており、低い所は14.3%の園もありました。園の種類としてまとめられると有意差が出なかった結果でしたが、50%以下の園は3園(20園中)という結果でした。平日の多くの時間を園で過ごすことが多いと思うので、実際の園での活動量を把握しておくことは大切なことだと思いました。

(※) Fukushima N, Abe T, Kitayuguchi J, et al. Adherence to the Japanese Physical Activity Guideline During Early Childhood Among Rural Preschoolers: A Cross-sectional Study. J Epidemiol. 2021;31(3):194-202.
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