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善導寺こどもクリニック

小中学生の睡眠時間

更新日:9月28日

Healthy Habits 43_睡眠 8


今回は、日本の子ども(小中学生)の睡眠時間と、睡眠障害、行動上の問題との関連性を報告した論文を取り上げます。(※)

Introduction

睡眠は子どもの成長に大切。睡眠不足は身体の成長だけでなく、行動や感情、認知機能などにも影響する。最近の調査によると、6歳から12歳の子どもたちは、平均で約9時間12分眠っているが、日本などのアジアの子どもは、他の国の子どもより1時間短いことがわかった。

また、欧米では、4人に1人の子どもが毎日寝不足や寝るのが難しい問題を抱えている。睡眠が足りないと、学校での勉強や行動にも影響が出る。5歳から6歳の子どもを追跡した研究では、毎晩10時間未満しか眠らない子どもは、10時間以上眠る子どもよりも認知機能が低くなるリスクが高いことが分かった。さらに、子どもの睡眠障害は、うつ病や発達障害のリスクとも関係がある。

この研究は、子どもの睡眠の状況や感情・行動の問題について調べることが目的。

Methods

横断研究

10の地域の日本の小中学生(6-15歳) 87,548名を対象にした質問票調査

最終的には22,604 名のデータが分析対象となった

2009年12月から2010年4月までに回収したデータ

調査内容は、

・睡眠習慣

・睡眠障害に関する質問

・情動・行動上の問題に関するアンケート


子どもたちの感情や行動の問題が年齢や性別、睡眠の障害や習慣と関係があるかを調べるためにスピアマン相関分析を用いた。

重要な結果は重回帰分析に使い、睡眠の障害が感情や行動の問題に関連しているかを調べた。分析前に多重共線性も確認。

Results

・小学1年生から中学3年生まで、学年が上がるにつれて、就寝時刻は次第に遅くなり、

小学1年生の21時6分→→→中学3年生の23時18分となっていた。

・一方、起床時間は学年でほとんど変化がなく、夜間の睡眠時間が短くなっていることがわかった

小学1年生から中学3年生までの9学年で2.0時間短くなった。

・全体の18.3%が何らかの睡眠障害と判定され、ほとんどが起床時の問題だった

・年齢、性別、睡眠習慣などの共変量で調整した場合でも、小児の情緒および行動上の問題が睡眠障害と関連していた

Discussion

リミテーション

・質問票の回答率が低かったこと

・質問票の回答は主観的な親の評価に影響されること

・横断研究であること

 

結論

(1)日本の子供は十分な睡眠をとっていない

(2)その結果、多くの子供が睡眠不足に起因する可能性のある起床時の症状を抱えている

(3)睡眠習慣とは関係なく、就寝時、睡眠中、起床時、日中の症状が子供の情緒的および行動的問題と関連している

 

Discussionでも触れられていましたが、これは約15年前の子どもたちの調査であり、今の子どもたちの環境とは違うことを考えないといけません。スマホやSNSの普及などにより15年前と比べて子どもたちの睡眠環境が悪くなっている可能性を考えると、この研究結果+αに現状はなっているのかもしれません。


(※)Takeshima M, Ohta H, Hosoya T, et al. Association between sleep habits/disorders and emotional/behavioral problems among Japanese children. Sci Rep. 2021;11(1):11438.


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