Healthy Habits 23_睡眠_4
今回は、9~10歳の約8300人を対象とした研究で、睡眠時間が9時間未満だとどのような影響があるのかを報告した論文を取り上げます。(※)
Background
6~12歳の子どもの睡眠時間は9~12時間が推奨されているが、最近の子どもたちはそれよりも少ないと報告されている。睡眠不足の子どもたちは神経認知機能の低下、学業成績の低下、社会的感情スキルの低下を示す。
睡眠不足が子どもの精神的健康、認知、脳の機能と構造にどのような影響を与えるかを2年間にわたって調査した。
Methods
・9~10歳の8323人を対象
・9時間以上の睡眠時間をSSグループ、9時間未満をISグループとして2つのグループに分けた
・傾向スコアマッチングを用いて、11の主な共変量について2つのグループをマッチング
・結果の尺度は、行動上の問題、メンタルヘルス、認知、脳機能
・ベースライン時と、2年後に追跡調査
Findings
・睡眠不足が行動上の問題に与える影響は2年間続いていた
特に抑うつ、思考、記憶の指標でSSグループとISグループで差が示された
・同じく睡眠不足が脳機能・脳構造に与える影響も2年間続いていた
・睡眠不足が抑うつ、思考問題、結晶性知能に及ぼす影響は、皮質-基底核の機能的結合が媒介する
・睡眠不足が結晶性知能に及ぼす影響は、前側頭葉の構造的特性が媒介する
(用語)
結晶性知能とは、知識や経験を積み重ねることで獲得していく知能。洞察力、判断力、理解力、批判や創造の能力といったものが該当する。
Interpretation
これらの結果は、睡眠不足が青年期早期の神経認知発達に長期にわたって影響を及ぼすことを集団レベルで証明。これらの知見は、青年期早期の長期的な発達転帰を改善するための早期睡眠介入の価値を強調する。
研究対象となった9~10歳は、日本でいう小学3-4年生です。
睡眠時間を9時間以上とるかとらないかで、その影響は長期に及ぶ可能性があります。
「寝る子は育つ」の意味が重く感じられる結果でした。小学生は少なくとも9時間以上の睡眠を確保してあげましょう。
(※) Yang FN, Xie W, Wang Z. Effects of sleep duration on neurocognitive development in early adolescents in the USA: a propensity score matched, longitudinal, observational study. Lancet Child Adolesc Health. 2022;6(10):705–712
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