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睡眠不足はADHD症状と関連

善導寺こどもクリニック

Healthy Habits 52_睡眠 9


今回は、子どもの睡眠不足に関して、行動症状に焦点を当てた論文を読みました。(※)

 

7〜8歳の子どもにおける短い睡眠時間がADHDの行動症状(不注意や衝動性)と関連しているかを調べたもの。

METHODS

フィンランドの子どもたちを対象にした横断研究

対象は1998年に35-42週で出生した子どもたち

研究対象となったのは413人、そのうち321人が参加

2006年にフォローアップし、睡眠の質はアクティグラフ(睡眠計)を用いて測定され、保護者は睡眠に関するアンケートとADHD評価スケールを記入。

平均睡眠時間が7.7時間未満の子ども(短い睡眠)と9.4時間を超える子ども(長い睡眠)に分類し、ADHDの行動症状との関連を分析。統計解析では、年齢や性別、親の教育レベル、身長、BMIなどの因子を調整した上で、睡眠不足がADHD症状に関連するかを調べた。


ADHD評価スケールは、

多動性・衝動性、不注意に関する18項目の質問で構成されたもの

RESULTS

参加者は280人(女子146人、男子134人)

平均年齢8.1 歳 (SD: 0.3; range: 7.4–8.8)

✓睡眠障害のある子どもは、ADHDの行動症状(多動/衝動性、不注意、総得点)で高いスコアを示し、これらの関連は統計的に有意だった

✓行動症状スコア(以下の3つのスコア)全てが、睡眠時間が長いと低かった

 多動/衝動性のスコア

 不注意のスコア

 ADHDの総スコア

短い睡眠時間は、交絡因子を調整した後でも多動/衝動性と関連があった

しかし、不注意やADHDの総合スコアには関連が見られなかった

✓親が報告した睡眠時間(寝かしつけや起床時間に基づく)は、ADHDの行動症状(多動/衝動性、不注意、総得点)とは関連しなかった

DISCUSSION

リミテーションなど

・睡眠呼吸障害とADHDの間に関連性がある

・親の報告とアクティグラフ(睡眠計)の記録が一致してない可能性

・横断研究のため因果関係はわからない


結論:子どもの睡眠スケジュールを適切に保つことは、行動症状を予防する上で重要であると考えられる

 

この研究は注意欠如・多動症(ADHD)の子どもたちを集めた研究ではありません。

睡眠時間が短いこと、睡眠障害があることが、ADHD様の症状と関連しているという報告です。子どもにとって睡眠不足は、行動面にも影響が出てくるかもしれないという認識は日々の生活において大切な視点だと思いました。

(※)Paavonen EJ, Räikkönen K, Lahti J, et al. Short sleep duration and behavioral symptoms of attention-deficit/hyperactivity disorder in healthy 7- to 8-year-old children. Pediatrics. 2009;123(5):e857-e864.





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