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日本の小中高生のスクリーンタイム

善導寺こどもクリニック

Healthy Habits 47_スクリーンタイム 9

今回は、日本の小中高の生徒のスクリーンタイムと関連する生活習慣を調査した日本からの報告を取り上げます。(※)

 

日本学校保健会の調査(2015~2017年度)では、

ゲーム、インターネット使用、テレビ視聴などの 1 日の平均スクリーンタイムは、

小学5-6 年男子  4 時間 34分

小学 5-6 年女子 4 時間   5分

中学生男子    6 時間 41分

中学生女子    6 時間 20分

高校生男子    6 時間 39分

高校生女子    6 時間 45分

と報告されている。


メディアの使用は、身体活動、食事、睡眠、排便習慣など、生活習慣のさまざまな側面に影響を及ぼす可能性がある。

スクリーンタイムに関連するライフスタイル要因を特定し、生徒のメディア過度使用を改善するための研究。

方法

横断研究

2016年~2018年 小学5年生から高校3年生を対象

質問票調査

[項目] 学年・学校成績・身長体重・登校日前の就寝時刻・休日前の就寝時刻・登校日の起床時刻・休日の起床時刻・授業中の眠気・朝食頻度・排便頻度・夕食時刻・放課後活動・放課後活動の頻度・習慣的運動頻度・スクリーンタイム(平日・休日)


スクリーンタイムに関連する要因を明らかにするために、スクリーンタイムを目的変数として重回帰分析を行った。

変数として、学年、性別、登校日と登校日以外の就寝・起床時間、学業成績、眠気、朝食、夕食の規則性、排便、1週間の放課後活動時間、1週間の身体活動日数、標準化BMIを用いた。

結果

小学生956名  57.6%が平日で2時間未満、44.5%が休日で2-4時間

中学生1049名 54.7%が平日で2時間未満、43.1%が休日で2-4時間

高校生717名  45.5%が平日で2-4時間、35.4%が休日で2-4時間


・スクリーンタイムは小学校から中学校、高校へと徐々に増加していた


・スクリーンタイムが増加する要因

学年が高い

休日前の就寝時間が遅い

平日の起床時間が早い

休日の起床時間が遅い

眠気が多い

朝食をスキップすることが多い

排便習慣が悪い

放課後活動の時間が短い

身体活動が少ない

BMIが高い


・小中高 全てに共通 →休日前の就寝時間が遅いこと

小中学校に共通 →眠気、短い放課後活動、BMIの増加

中高校に共通→朝食をスキップすること


小学校では排便スコアの悪さ

中学校では自己報告による学業成績の低さ

高校では身体活動の少なさ

中学校では男子、高校では女子

がスクリーンタイムの増加に有意に関連

議論

中学生のみがスクリーンタイムと成績の低さが関連していたが、小学生と高校生では関連がなかった。成績のためにスクリーンタイムを減らすようにと指導されることが多いが、そのような指導は不十分なのかもしれない。

スクリーンタイムを減らすヒントは「身体活動の増加」で置き換えることにあるのかもしれない。

スクリーンタイムに影響を与える多くの要因が特定され、スクリーンタイムを減らすためのターゲットとなる生活習慣や行動を理解するのに役立つ。

 

就寝時刻の遅れ・睡眠時間の短縮・起床時刻の遅れ・朝食スキップ・日中の眠気、これらは流れのように当然の結果が導かれますが、これらの流れそれぞれにスクリーンタイムは影響しており、しかもそれぞれの年齢で影響度が違うようです。

小学生には〇〇、中学生には△△、高校生には□□のような画一的な対策はなく、効果的な介入方法も確立されていません。

(※) Kohyama J. Lifestyle habits associated with screen time among pupils in Japan. Pediatr Int. 2021 Feb;63(2):189-195.

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