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善導寺こどもクリニック

外遊びはスクリーンタイムの影響を緩和する

Healthy Habits 26_身体活動4


今回は、外遊びの頻度がスクリーンタイムの影響を弱める可能性を報告した日本からの論文です。(※)

Introduction

(1)2歳時のスクリーンタイムが4歳時の神経発達アウトカムと関連するかどうか

(2)2歳8ヵ月時の外遊びの頻度が4歳時の神経発達アウトカムと関連するかどうか

(3)2歳8ヵ月時の外遊びの頻度が2歳時のスクリーンタイムと神経発達アウトカムとの関連を媒介するかどうかを検討した。

Vineland Adaptive Behavior Scale(VABS-II)を用いて、コミュニケーション、日常生活技能、社会性の領域を捉えることができる神経発達アウトカムを測定した。

Methods

浜松市母子出生コホート研究で実施

2007年12月~2012年3月までに生まれた児を対象

1歳半→2歳→2歳8か月→4歳

の時点での全てのデータがある者を対象


スクリーンタイム 1時間より長い・短い

外遊び 週に何日、30分以上外で遊ぶ頻度 6-7日を頻度多い・6日未満を少ない

VABS-II でコミュニケーションスキル、日常生活スキル、社会スキルを評価


子どもの性別、母親と父親の学歴、1歳6ヵ月時のASD(自閉症スペクトラム症)症状を調整済みモデルの共変量として扱った


統計解析

2歳時のスクリーンタイムと2歳8ヵ月時の外遊びと、4歳時のコミュニケーション、日常生活技能、社会性との関連を、線形回帰を用いて解析


媒介分析という方法で、外遊びがスクリーンタイムと神経発達アウトカム(3領域)の関連を媒介するかどうかを調べた

Results

885人のデータ

・1日あたりの平均(SD)スクリーン時間は2.6(2.0)時間


・2歳時点でのスクリーンタイムの長さは、4歳時点でのコミュニケーションスキルの低さと日常生活スキルの低さと関連していた

・2歳8か月時点での外遊びの頻度の低さは、日常生活スキルの低さと社会化スキルの低下と関連していた

・2歳時のスクリーンタイムの長さは、2歳8ヵ月時点での屋外遊びの頻度の低さと関連していた

・2歳8か月の外遊びの頻度を増やすと、4歳時点での日常生活スキルの低下が緩和される

Discussion

リミテーション

・スクリーンタイムは保護者申告のため過小評価につながった可能性

・視聴されているプログラムの種類に関する情報が不足

・2010 年代に育った子供たちを対象にしており、2020 年代に育った子供ほどスクリーンタイムにさらされていなかった可能性

Conclusions

2歳時のスクリーン利用時間が長いことは、4歳時のコミュニケーションにおける神経発達が不十分であることと関連しており、この関連は本研究で検討された因子によって交絡されたり媒介されたりすることはなかった。2歳時のスクリーン利用時間が長いことは、4歳時の日常生活技能の発達が不十分であることと関連し、2歳8ヵ月時の外遊びによってその関連が軽減された。

 

スクリーンタイムを制限しましょうと言われても、理想はそうだけど・・・と思われることは多いです。特に子育てのリアルではスマホやテレビに頼ってしまう場面は少なくないと思います。

「スクリーンタイムを減らしましょう」という説明のみではなく、「外遊びを増やしてみましょう」という説明でも、結果として同じ目標に辿りつけるのかもしれません。


(※)Sugiyama M, Tsuchiya KJ, Okubo Y, et al. Outdoor Play as a Mitigating Factor in the Association Between Screen Time for Young Children and Neurodevelopmental Outcomes. JAMA Pediatr. 2023;177(3):303-310.





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