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子どものnutrient dilution(栄養希釈)について

  • 善導寺こどもクリニック
  • 5月14日
  • 読了時間: 3分

Healthy Habits 68_食事12


今回は、「nutrient dilution 」に関する日本の調査を取り上げます。(※)

糖類摂取量が増加すると、ビタミンやミネラル類の摂取量が減少したり、食事の質が低下することを「nutrient dilution 」と呼びます。(ここでは「栄養希釈」と訳します)

用語の定義と背景

「遊離糖」:製造者、調理者または消費者によって食品や飲料に添加された単糖類や二糖類、および蜂蜜、シロップ、果汁ジュース、果汁濃縮物に自然に存在する糖類


遊離糖の摂取が多いと、エネルギーだけ多くてビタミンやミネラルなどの栄養素が足りなくなる「栄養希釈」が起こるとされる。日本の子どもたちは欧米に比べて糖の摂取量が少ないが、それでも悪影響があるかを検証。


世界保健機関(WHO)は、遊離糖の摂取を「総エネルギーの5%未満(理想)または10%未満(推奨)」に抑えるよう提言している。以前の研究では、日本の成人は、オーストラリアの成人よりも栄養素希釈の閾値が低いことが判明している。

Methods

2016年の国民健康・栄養調査のデータを使用。

対象は1〜19歳の子どもと若者2919人。

食事は1日分の詳細な記録を使って分析。

遊離糖の摂取量によって4グループ(<2.5%、2.5〜5%、5〜10%、≥10%)に分け、各栄養素の摂取量を比較。

Results

■栄養素への影響:

遊離糖の摂取量が10%以上のグループでは、ほぼすべての栄養素の摂取量が低下。

5〜10%のグループでも、14種類の栄養素が低下。

2.5%未満と2.5〜5%の間では大きな差はなかった。


■ 食品の傾向:

遊離糖が多い人ほど、お菓子・ジュース・ジャムなどを多くとり、野菜・豆類・ナッツ・魚・乳製品などの摂取が少ない傾向。

Discussion

日本の子どもたちは糖の摂取量が低いが、それでも5%以上で栄養希釈の兆候が見られる。

WHOの「10%未満」よりも厳しめの「5%未満」という基準の方が、日本では妥当かもしれない。学校給食などの影響で、日本の子どもたちの糖の摂取量は抑えられているが、それでも注意が必要。


Limitation

・食事記録は1日分なので、日ごとの変動を完全には反映できない。

・自由糖や栄養素の摂取量は、誤って少なめに記録される可能性もある。

・社会的背景(家庭の収入や親の教育など)による影響は十分に考慮されていない。


結論

日本の子ども・若者でも、自由糖の摂取が多いと、栄養不足が起こる可能性がある。

WHOの「糖の摂取は5%未満」という基準を守ることが望ましい。

今後、日本でも子ども向けに糖の摂取基準を設ける必要がある。

栄養素がほとんど含まれず、カロリーだけを供給する食品を「empty calories」「空っぽのカロリー」と呼んだりします。砂糖を多く含む食品や飲料はその代表です。胃の容量が大きければ、空っぽでも足せば良いという考えもできなくもないですが、子どもは「空っぽのカロリー」でお腹いっぱいになってしまうことが問題ですね。

(※)Fujiwara A, Okada E, Okada C, Matsumoto M, Takimoto H. Association between free sugar intake and nutrient dilution among Japanese children and adolescents: the 2016 National Health and Nutrition Survey, Japan. Br J Nutr. 2021;125(12):1394-1404.

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