top of page

当クリニックは、Web予約制です

お電話からもお気軽にお問い合わせください。

何かを見つめる子ども

お知らせ

子どもへの人工甘味料使用、どこまで安全か?

  • 善導寺こどもクリニック
  • 2025年8月27日
  • 読了時間: 6分

更新日:2025年9月4日

Healthy Habits 75_食事13

今回は、人工甘味料に関して調べてみました。

本ブログの第4回でも取り上げたように、砂糖摂取に関する情報は広く知られており、各国で摂取ガイドラインも制定されています。砂糖摂取を減らすために、人工甘味料に注目が集まっており、現在日本でも、砂糖の代わりに人工甘味料を使用している商品を店頭でよく見かけるようになりました。

現在、日本で使用が許可されている人工甘味料は、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム(アセスルファムK)、スクラロース、ネオテーム、アドバンテームの6種類です。


子どもたちにこれらの人工甘味料の摂取は勧められるのでしょうか?

日本国内での推奨

まずは日本国内でどのような推奨となっているかを確認しました。

内閣府 食品安全委員会というサイトに、「Q III-4 人工甘味料の添加物が使われていますが、安全性は大丈夫なのでしょうか。」というQ&Aと、「アスパルテームに関するQ&A」が載っていました(※1)(※2)。

以下が要点です。

・厚生労働省の甘味料の一日摂取量の調査によると、許容一日摂取量(ADI)が設定されている甘味料の推定摂取量はどの年齢層においてもADIを大きく下回っており、安全上特段の問題はないと考えられる。

・アスパルテームの摂取量に関する調査結果でも、推定摂取量はADIよりも大幅に低い値だった。

・アセスルファムカリウム、スクラロースに関しては、1~6歳(小児)の摂取量データもあった。


上記の記載に辿りつく前に、厚生労働省や消費者庁のホームページで確認してみましたが、すぐに資料を見つけることが出来ませんでした。食品安全委員会や日本食品化学研究振興財団のサイト(※3)には食品添加物の詳細な情報がまとめられていましたが、保護者や健診に従事する医療従事者が「安全なのか」「何を見ればいいのか」と疑問を持った時にすぐ確認できる資料が欲しいなと思いました。

WHOのガイドライン

次にWHOが2023年に発表した「Use of non-sugar sweeteners WHO guideline」の概要を確認しました(※4)。このWHOガイドラインでは、「体重管理や非感染性疾患のリスク低減を目的として、非糖類甘味料≒人工甘味料(non-sugar sweeteners : NSS)の使用は推奨しない(条件付き推奨)」と結論づけられています。

小児に関連する記述は以下のものがありました。

・小児および妊婦に関する研究は、成人に比べてエビデンスが限られている

・小児における1件のRCTでは、加糖飲料をNSS含有飲料に置き換えた際、いくつかの体脂肪指標の低下が見られた  が、BMI zスコアに関しては他の試験と統合しても有意な効果はなかった。

・NSS使用と体脂肪指標との間に有意な関連は、前向き観察研究では示されなかった。


以上より、小児に関する直接的エビデンスは限定的と考えられます。

NSSの安全性は確認されているが、健康上の長期的メリットは証明されておらず、慎重な使用が求められるというのが現在の国際的なコンセンサスです。特に子ども対しては限定的なエビデンスしかないため、成人への推奨事項以上のことは言えないというのが現状です。

米国食品医薬品局、米国小児科学会

サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム(アセスルファムK)、スクラロース、ネオテーム、アドバンテームの6種類に関して、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration)の公式サイトにわかりやすくまとめてありました(※5)。各成分の安全なレベルとして、1日許容摂取量(acceptable daily intake:ADI)が決められています。ADIは人が生涯にわたって毎日摂取しても安全とされる量と定義されています。ADIが提示されており、通常の日常生活ではこのADIを超える量を摂取をすることは現実的には起こりにくいと思いました。このサイトには小児に特化した記述はありませんでした。


米国小児科学会からは2019年にPolicy Statementとして「子どもたちのNonnutritive Sweetenersの使用」という声明が出されていました(※3)。


NNS摂取実態と課題

・小児のNNS摂取は近年急増しており、特に清涼飲料やスナック製品が主要な供給源。

・米国では、NNSを含む製品の成分量表示義務がないため、摂取量の把握が困難。

・NHANES調査(2009–2012):25.1%の小児がNNS摂取あり、80%は「毎日」摂取。

・NNSを意図せず摂取している事例もあり、水道水や市販食品からの摂取が指摘される。


安全性・リスク

【がんリスク】かつて懸念されたが、ヒトでの発癌性の証拠なし(サッカリン、アスパルテームなど)。

【代謝異常】一部の動物実験で腸内細菌叢の変化と耐糖能異常が示唆。

成人の観察研究で、アスパルテーム摂取とBMI・耐糖能低下との関連が報告されているが因果関係は未確立。

【行動・神経発達】ADHDや自閉スペクトラム症との関連は証明されていない。

【その他】アスパルテームによる血小板減少症の報告がある。

フェニルケトン尿症ではアスパルテーム・ネオテームが禁忌。

肥満や代謝疾患への影響

一部のRCTで、SSB(糖入り飲料)をNNS飲料に置き換えることで体重増加抑制が示されている。

ただし、NNS摂取とBMI上昇の関連を示す研究もあり、結果は一貫しない。

観察研究は交絡(例:肥満児が意識的にNNSを選んでいる)や逆因果の可能性がある。


味覚・摂食行動への影響

NNSの摂取は、甘味への閾値を変化させ、より甘いものを好む傾向を強める可能性がある。

小児ではもともと甘味を好む傾向が強く、NNSによりその傾向が強まる可能性がある。


研究の限界と今後の課題

多くの研究が成人・動物対象であり、小児に特化した長期RCTは極めて少ない。

NNSの種類・摂取量・摂取時期・遺伝的背景を考慮した研究が求められている。


  • 現時点でNNSの使用に関して明確な推奨は示されていない

  • 安全性に関する重篤な懸念は確認されていないが、小児における長期的影響の証拠は不足

  • 2 歳未満の子供に対する NNS の使用に関するアドバイスはできない

欧州食品安全機関

欧州食品安全機関(EUROPEAN FOOD SAFETY AUTHORITY : EFSA)でも、各甘味料について科学的データ(動物・ヒト)に基づきADIを設定し、定期的に見直しを行っています(※7)。

ステビアやスクラロースは比較的長期的な使用歴があり、評価も詳細でした。アドバンテームは極めて高い甘味度により実質的な摂取量は非常に少ないため、リスクは低いとされていました。

まとめ

今回は食品安全委員会、WHO、FDA、AAP、EFSAが公表しているアクセス可能な情報から、人工甘味料について調べてみました。2025年8月時点での判断としては、大雑把にまとめると、

・乳幼児は避けた方が良いかもしれない

・小児は摂取しても問題ないかもしれないが、長期的な影響はまだわからない

・成人は適量なら問題ないかもしれない(安全性は確保されているが、健康上の長期的メリットは証明されていない)

となるでしょうか。


(※1) 内閣府食品安全委員会 Q III-4

(※2) 内閣府食品安全委員会 アスパルテームに関するQ&A

(※3) 日本食品化学研究振興財団

(※4) Use of non-sugar sweeteners WHO guideline

(※5) Aspartame and Other Sweeteners in Food

(※6) Baker-Smith CM, de Ferranti SD, Cochran WJ; COMMITTEE ON NUTRITION, SECTION ON GASTROENTEROLOGY, HEPATOLOGY, AND NUTRITION. The Use of Nonnutritive Sweeteners in Children. Pediatrics. 2019;144(5):e20192765.

(※7) EUROPEAN FOOD SAFETY AUTHORITY


【Healthy Habits 全記事まとめ】こちら

福岡県久留米市の小児科

善導寺こどもクリニック

 久留米市善導寺町・田主丸町・うきは市で小児科なら善導寺こどもクリニックへ

福岡県久留米市善導寺町飯田272-7

【休診日】木曜午後、日曜、祝日

■土曜の午後は、16時までの診療です。ご注意ください。
当院は14時~16時までは予防接種と健診の専用時間帯

©2021 善導寺こどもクリニック. All Rights Reserved.

bottom of page