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  • 善導寺こどもクリニック

インターネット使用と脳発達

Healthy Habits 21_スクリーンタイム4


今回は、子どものインターネット使用習慣と脳発達や言語知能に及ぼす影響を調べた論文です(※)。スマホやパソコンを使用するときは、たいていインターネットを利用します。現代の子どもはテレビよりもYouTubeや通信ゲームなどにはまっています。大きくなるとSNS中心でしょうか。この論文は[16回目]と関連する研究ですが、今回も視覚的にインパクトがとても強い結果でした。

INTRODUCTION

若年者のインターネットの使用習慣は、学業成績の低下、抑うつ感や孤独感の増加などと関連していることが知られている。また、インターネット中毒の人は、実行機能や注意能力の低下、高い衝動性などと関連していることが示されている。日常的なインターネットの使用が言語知能と脳の構造の発達に及ぼす影響は調査されていない。

METHODS

5-18歳 健康な日本人の子どもたち223人を対象

①    インターネット使用に関するアンケート(☆)、知能検査、MRI撮影

↓3年後

②    同上


(☆)1.機器を持っていない(禁止) 2.まったく使用しない

3.稀に使用する 4.週1日使用 5.週2-3日使用

6.週4-5日使用 7.ほぼ毎日使用

初回参加時のインターネット使用習慣が、2回目参加時の言語性知能、脳の発達の変化などをどのように予測していたかを解析

(性別、年齢、親の教育歴、家庭の世帯収入、居住地域の都市レベル、睡眠時間、さらに初回参加時の知能などの交絡因子を補正して解析)

RESULTS

✓初回参加時に、頻回にインターネットを使う習慣がある人は、2回目参加時の言語性知能低下と関係していた

✓初回参加時に、頻回にインターネットを使う習慣がある人は、2回目参加時の広範な領域の灰白質の発達の少なさと関係していた

✓初回参加時に、頻回にインターネットを使う習慣がある人は、2回目参加時の広範な白質の発達の少なさと関係していた

色のついた領域が、発達が少なかった領域

DISCUSSION

脳の容積の発達の少なさがわかった領域には、実行機能、注意、情動処理、言語処理、報酬、社会認知機能に係る領域が含まれている。

頻回なインターネット使用は好ましくない神経発達と言語知能の低下に繋がることが示唆された。

インターネット利用時間の増加によって、有益な活動(読書、勉強、他者との交流、運動など)の減少が関与している?

インターネット活動は報酬性が高く、報酬に対する感覚が鈍くなり、喜びを享受する能力が低下し、結果として抑うつ気分が生じることが示唆されている。

 

この論文のデータが収集され始めたのは10年以上前のことということで、10年前よりも現在の方がインターネットを利用する環境は整っています。誰でもスマートフォンを持ち、インターネットを毎日利用できる環境にあります。

インターネットがもたらした計り知れない貢献の陰に、今回の結果に示されたような子どもへの影響が出てきていることは知っておいた方がよいと思いました。


(※) Takeuchi H, Taki Y, Asano K, et al. Impact of frequency of internet use on development of brain structures and verbal intelligence: Longitudinal analyses. Hum Brain Mapp. 2018;39(11):4471-4479.



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