Healthy Habits 9_睡眠 1
今回は日本からの報告で、睡眠時間と脳の海馬の容積との関連を調べた論文です(※)。
海馬は記憶に関する領域で、睡眠が必要な理由の一つとして「記憶すること」があると考えられています。
背景
睡眠は海馬の機能と構造に関連している
睡眠と健康な子どもたちの海馬の体積との関連は明らかになっていない
健康な小児のMRI画像を用いて、睡眠時間と海馬の体積の関連を調べる
方法
横断的研究
日本人5~18歳の健康な子ども290人(男145人、女145人)
平日の睡眠時間と休日の睡眠時間をアンケートで集計
全ての参加者の頭部MRIを撮影
局所灰白質体積を従属変数、年齢、性別、睡眠時間、頭蓋内容積を独立変数として重回帰分析を行い、海馬の局所灰白質体積と睡眠時間の相関を調べた
結果
・睡眠時間 [分] (mean ± SD, range)
男:(519.0 ± 69.4, 300–660) 女:(510.0 ± 75.1, 300–660)
・両側海馬の容積は、平日の睡眠時間と有意に正の相関があった
議論
・メカニズムはわからないが、ラットでも同じ結果が出ている
(睡眠をはく奪すると海馬の細胞増殖と神経新生を抑制)
・睡眠と海馬体積の因果関係は明らかになってはいない
・睡眠の質に関する主観的な情報は収集できていない
結論
平日の睡眠時間と海馬の局所灰白質量と有意な正の相関があることがわかった
十分な睡眠が海馬に有益な効果をもたらすことを示唆
子どもにとっては体だけでなく脳の発達も重要です。
この結果はそれを示唆しており、「寝る子は育つ」とはシンプルで良いフレーズだと改めて思いました。
(※) Taki Y, Hashizume H, Thyreau B, et al. Sleep duration during weekdays affects hippocampal gray matter volume in healthy children. Neuroimage. 2012;60(1):471-475.
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