子どもとの運動習慣が大切
- 善導寺こどもクリニック
- 4月2日
- 読了時間: 3分
Healthy Habits 65_身体活動 11
今回は、日本の小学生の身体活動に関連する要因を調査した論文を取り上げます。(※)
Introduction
子どもの運動は心身の発達や将来の健康に重要であり、WHOは1日60分の中強度以上の運動(moderate-to-vigorous PA : MVPA)を推奨している。幼少期の運動習慣は成人後の健康にも良い影響を与え、運動技能の発達は継続的な運動習慣につながる。
しかし、近年、子どもの運動量は減少し、日本でも運動不足や肥満が問題視されている。経済的負担や親の反対、友人関係の影響などがスポーツ参加の障壁となることも指摘されている。
本研究では、日本全国の小学生を対象に、スポーツ活動の参加状況と社会的・家庭的要因との関係を調査し、健康促進に役立てることを目的としている。
Methods
・参加者とデータ収集
笹川スポーツ財団が2019年6-7月に実施したスポーツライフ調査の横断的データを使用
し、日本全国の小学生を対象とした
・生徒の身体活動
WHO学齢期児童の健康行動調査の日本語版を使用してMVPAを評価
・共変量
性別、年齢、学年、世帯年収、家族構成、生活習慣に関するデータなどを収集
・統計解析の概要
組織的なスポーツ参加とMVPAレベルの2つを主要なアウトカム(結果)として評価した。MVPA(1日60分以上の運動)の頻度を基に、週5日以上と週4日以下の2グループに分類。
性別による比較: ライフスタイルや運動習慣の性差を考慮し、Fisherの正確確率検定またはカイ二乗検定を使用。
組織的スポーツ参加の関連要因: 多重ロジスティック回帰分析で影響を調査。
MVPAの関連要因: 同様に多重ロジスティック回帰分析を実施。
Results
合計 1,197 人の参加者(小学1年生~6年生の男女)
1,053 人 (88.2%) の学生が身体活動を好むと回答
■組織的なスポーツに参加していたのは 725 人 (60.8%)
これは、性別、学年、人口密度、世帯収入、毎日の朝食、スクリーンタイムの少なさ、親との頻繁な運動と有意に関連していた (すべてP < 0.05)
■参加者の わずか12.3% が頻繁な MVPA レベルを満たしていた
これはスクリーンタイムの少なさや、親との運動習慣と有意に関連していた (両方ともP < 0.05)。※親との頻繁な運動 (OR 2.89, 95% CI 1.22–6.88)
Discussion
この調査結果は、小学生の身体活動レベルを高めるには、親の関与を増やす必要があることを示している。
Limitation
・質問票の想起バイアス
・質問票が返送されなかったデータは欠落しており選択バイアスの存在
・季節の影響、この調査は6-7月の初夏に実施された
・身体測定データや併存疾患、食習慣などの情報は含まれていない
親と子どもの運動習慣は、今回の分類ではnever、rarely、sometimes、frequently
の4段階となっていました。
頻繁な子どもの身体活動との関連性は、frequentlyのみで認められていました。
"frequently" は週に3~5回以上、またはほぼ毎日運動するイメージでしょうか。
なかなか現実的に難しい頻度ですが、子どもとの運動を心掛けていきたいものです。

(※) Motoki N, Morota H, Shibazaki T, Nakamura C, Nakazawa Y. Familial and lifestyle factors related to physical activity in elementary school students: a cross-sectional study based on a nationally representative survey in Japan. BMC Pediatr. 2023;23(1):338.
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